12.2 科学技術の倫理的利用

A

科学技術の倫理的利用を目的とするプロジェクトは、新たな技術の開発や社会実装に際して、倫理的・法的・社会的な課題(ELSI)を総合的に検討し、技術と社会の調和を図る取り組みを指します。

プロジェクトの定義

これらのプロジェクトは、以下の要素を含む活動を指します:

  1. 倫理的課題の検討: 新技術が人間の価値観や倫理観に与える影響を分析し、倫理的な問題点を明らかにすること。
  2. 法制度的課題の検討: 技術の導入に伴う法的な課題や規制の必要性を検討し、適切な法制度の整備を促進すること。
  3. 社会的課題の検討: 技術が社会や環境に与える影響を評価し、社会的受容性や持続可能性を考慮した対応策を策定すること。
  4. 多様なステークホルダーとの協働: 研究者、政策立案者、一般市民など、多様な関係者と連携し、技術の開発段階から意見交換や合意形成を行うこと。
  5. 責任ある研究とイノベーションの推進: 技術の開発と社会実装において、社会的責任を果たしながら持続可能な価値創造を目指すこと。

これらの活動を通じて、科学技術が人間や社会と調和し、持続的に新たな価値を創出することを目指します。

例えば、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の社会技術研究開発センター(RISTEX)では、「科学技術の倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への包括的実践研究開発プログラム」を推進し、AIやゲノム編集などの新興技術に関するELSI対応を進めています。

JST

また、大阪大学の社会技術共創研究センター(ELSIセンター)では、新規科学技術の研究開発や社会実装に伴う倫理的・法的・社会的課題を総合的に研究し、技術と社会の橋渡しを行う取り組みが進められています。

大阪大学 社会技術共創研究センター(ELSIセンター)

これらのプロジェクトは、科学技術の発展と社会的価値の両立を図るための重要な取り組みとして位置付けられています。